黒き女将の宿 - Sound Horizon

[06:52.0]ぶらん。ぶらん。風吹きゃ ぶらん。 踊るよ、黒いぶらんこ……。
[06:52.0] おらは貧しい村に生まれ いっつも腹を空かせてた
[06:52.0] お菓子で出来た家があったら あったら本当に良かんべな
[06:52.0] 「人は信仰によってのみ救われる」と
[06:52.0] 偉い坊さんが言ったとさ 本っていうのに書いたとさ
[06:52.0] 神様が助けてくれるなら たらふく飯食えっべな
[06:52.0] お父達は鎌を手に 出掛けて行った
[06:52.0] その日の空の色 哀しい程に朱く……
[06:52.0] 大砲が吼えりゃ 翼も無いのに 人が空を飛ぶ 軽やかに高く 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
[06:52.0] 嗚呼 武器が農具じゃ 残念だけれど 射程が短か過ぎた 残酷な程に 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
[06:52.0] 村の働き手は 結局その殆どが 二度とは帰って来なかった……
[06:52.0] そしておらは、遠くの町へと……
[06:52.0] 年齢不詳。性別も不詳。出遇えば不祥。正に人生の負傷。
[06:52.0] 胡散臭い女将が、夜な夜な暗躍する宿屋。
[06:52.0] その名を【黒狐亭】という!
[06:52.0] 「薹が立って久しい、クソババアが独り。
[06:52.0] 図太く生きてゆくには、綺麗事ばかりじゃ……ないわよっ!」
[06:52.0] 「愛した男は、皆儚く散った。
[06:52.0] 運が悪いのか、時代が悪いのか……」
[06:52.0] 「嗚呼【Mantzer】は気高く、
[06:52.0] 【Hutten】は華麗で、
[06:52.0] 【Sickingen】は、嗚呼、誰よりも――」
[06:52.0] 激しかったわ▼ おい、クソババア!
[06:52.0] 「あんたのような田舎っぺ、拾ってやったのは、何処の誰かしら?
[06:52.0] 口の利き方にゃ……気をつけなさいっ!」
[06:52.0] 「さぁさ、旦那、どうぞ。温い麦酒は如何?
[06:52.0] 自慢の最高な肝臓料理、ご用意致しま――」
[06:52.0] 宵闇へ 飛び出した 女将を睨み
[06:52.0] 客は怒り おらは平謝り
[06:52.0] そして小一時間後...
[06:52.0] 空気読まず 出戻った 女将の手には
[06:52.0] 贖罪の 新鮮な食材
[06:52.0] その味に 怒り狂った客も 機嫌を直した
[06:52.0] その事で 味を占めた女将の 暴走は続く……
[06:52.0] 必死に生きたけど、ロクなことがねぇ。
[06:52.0] 結局、人生って何だべ…よく分かんねぇ……
[06:52.0] とん
[06:52.0] とん とん
[06:52.0] とん とん とん とん
[06:52.0] とん とん
[06:52.0] とん とん
[06:52.0] とん とん とん とん
[06:52.0] とん とん とん とん
[06:52.0] 躍るよ黒い
[06:52.0] ぶ ら ん こ